消防団の実態と問題点~元消防団員の告発~

消防団員の報酬、分団が全額徴収 総務省が警告 神戸

神戸市中央区の中央消防団全10分団で、いったん個人口座に振り込まれた団員報酬を全額集め、懇親会費などに充てていることが24日、同消防団への取材で分かった。

(引用 ヤフーニュース 神戸新聞NEXT)

2018/4/25(水) 消防団の実態がニュースで大きく報じられていました。

でも、これらの問題は、氷山の一角であり、他にも消防団には様々な問題があります。

何を根拠にと言われるかもしれませんが、私自身が消防団にかつて所属していたから

言えることです。いえ、言わせてください。

消防団の存在意義は?

消防団(しょうぼうだん)は、消防組織法に基づいて各市町村に設置される消防機関である。

消防団員は本業を別に持つ一般市民で構成されており、自治体から装備及び報酬が支給される(報酬がない団も存在する)。市町村における       非常勤地方公務員である。(引用 wikipedia)

私は関西の郊外にある、とある消防団に約10年間、消防団に所属していました。

私にとっては苦痛でしかない消防団活動であり、無理やり力技で退団しました。

消防団に入らない者、及びその家族は村八分

私の住んでいた地域では、学校を卒業したら消防団に入るのは当然であるといわんばかりの

風潮があり、事実上「入団しない者やその家族は村八分」扱いがなされていました。

消防団では、ヒラの団員から、機械係長、班長、部長と順番にステップアップする

各役職があり、役職を務めないと退団できない、つまりやめさせてもらえないというのが

習わしでした。

消防団を構成する年齢層は、およそ20歳~40歳であり、消防団を円満に退団すると

次は、40歳~60歳により構成されるシニア世代の親睦会、

60歳以上は老人会と続きます。

地域に居る限り、原則それらの団体から抜けることは許されず、

(病気や高齢による体調等を除く)抜けた者、その家族は非難されるので

私の知っている限りでも、消防団から抜けるために引っ越しした人が何人もいます。

消防団はパフォーマンス集団か

「非常勤地方公務員」という響きは、一見お堅いイメージがあります。

消防団が行う主な活動としては、

消火活動、救助活動、水防活動、防火・啓発活動、救命講習等があります。

いずれも住民の生活を守るために大切な活動です。

しかし、消防団に所属していても、専門知識が無いのにこれらの活動を行うことは

難しいことは誰でもわかります。

しかし、消防団に入っても専門的な教育はほとんどなされません。

私の記憶する限り、年1回教育ビデオを見る位でした。

あとは、夏場には「(小型ポンプ)操法大会」という、広い運動場で行う、

初期消火の為の消防ポンプ、消防ホース、放水筒先の扱いを儀式化した支部対抗イベントで

高得点を得る為に模擬的な訓練を行います。

敬礼から始まり、手や足の角度や決められたセリフやかけ声における声の大きさが審査基準としてウエイトを占めており

いかにマニュアル通りの演技を機敏に大きな声で行えるかが重視されます。

つまり、パフォーマンス訓練の為の訓練であり、何ら実行性が無いんです。

実際の火事場では、まず、消火を行うための水を確保する必要があります。

これは、消防団であっても、消防隊であっても基本的に同じです。

郊外であれば、小川や用水池、住宅街であれば消火栓を探して、消防用ポンプ等を接続し

高圧にした水をノズルから散水することで、消火あるいは延焼を防ぎます。

実際の火事場では、路上の地下に設置されている消火栓も多く、上に車が駐車していて

使えなかったり、小川の水量が低下していたり、消防用水池に泥が溜まっていて

ポンプで水が吸えない等、色々なアクシデントがあります。

何とか水を確保したら、今度は火事場までホースを延ばして、遠い場合は何本もホースを

接続することが必要となります。

「操法訓練」では、広い運動場で、2重に巻いたホースをまっすぐに転がしてホースを

延ばしてからホースの接続金具を持って走り、さらにホースを接続するという方法を

行います。

しかし、住宅街であれば、水源から火事場まで、直線である可能性は低く、たいていは

あみだくじのごとくにホースを蛇行させる必要性があります。

従って、ホースをまっすぐに転がしただけでは、火事場までホースを延ばすことが出来ません。

また、火事という非常事態において、敬礼の腕や掌の角度、セリフがどうだとか

気に掛ける余裕など無いでしょうし、火事場で悠長にそんなことをしていたら怒られる

でしょう。

消防団の日常活動

私が所属していた消防団においては、月1回程度、夜に集まって会議を行っていました。

年間行事について決めたり、年1回の研修旅行と言う名の慰安旅行についての確認等

必要な内容もありましたが、本来であれば30分で終わる内容であるにも関わらず

だいたい3時間かけて、タバコを吸いながら飲み会が続きました。

私はタバコが嫌いなので吸いませんが、嫌煙権という概念は当時一般的では無く

煙にまみれてムセながら、時間をやり過ごしていた記憶があります。

毎回、新人や教育係が酒のおつまみを切らさないようにストックを購入しておき

500ml缶のビールを購入して冷やしておくのが習わしでした。

年に数回ある行事ではオードブル料理をお取り寄せして年長者や役員にお酌して廻ります。

会議に参加しなかったら罰金2千円~4千円

会議と称した飲み会、パフォーマンス大会で高得点を取る為の訓練 等々に欠席すると

罰金として欠席1回につき、2千円~4千円が徴収されていました。

徴収された罰金は、飲み会や慰安旅行の予算として使われていました。

消防団員は飲酒運転も黙認されていた?

年末、12月28日~30日の3日間は、「年末警戒」と称して

夜7時頃から翌日午前3時頃まで、消防団の詰所に待機し、1時間に一回程度

消防ポンプを積載した車で地域を巡回することになっていました。

不審者がいないか、火の気が上がったりしていないか、見回るというものです。

寒い時期の夜ですから、防寒下着等着てはいますし、ストーブも焚いていますが

やはり寒いので、熱燗を飲んだり、毎回の会議で飲酒しているからなのか

消防車を運転しなければいけないにも関わらず飲酒しているメンバーも多くいました。

近所の交番からも年末のあいさつを兼ねて巡査が来られるのですが

飲酒を目撃しないように、酒が入る前の早い時間に短時間訪問するのが習わしとなって

いました。

誰の為の消防団か?

何故私は消防団活動が嫌だったのか

自主防災組織として消防団を捉えた時に、地域住民の一人として

参加しないよりした方が民主的であると言えるかもしれません。

しかし、それは「自主防災」の為であるという前提があってのことです。

本業である仕事を無理やり早く切り上げて、あるいは友人や職場の仲間との時間を犠牲にして

参加した会議や訓練が、消防団の本来の業務とかけ離れた、飲み会やパフォーマンスの練習であれば、そんな無駄な時間の使い方はありません。

「消防団活動とはそんなもの」「地域の付き合いを大事にしなければ」と

割り切れる人は良いのでしょうが、私は消防団活動だけして生活している訳ではありません。

消防団の勧誘文句と実際

そんな消防団に私が何故入ったのか、不思議に思われるかも知れませんが

当時、消防団の役員が毎月のように自宅へ来られ、「仕事が忙しければ参加できる範囲で

全然かまわない、地元の防災の為に力を貸してほしい」「昔の消防団の様な長々とした飲み会は無い」

と説明を受けたからです。

しかし、実際は会議を招集する必要性を感じられない議題と、意味もなく続く飲み会、

意味の薄い訓練、仕事で参加できなくても徴収される罰金という、

全く聞いていない現実がありました。

辞めていった仲間と、消防団を避けて地元を離れる若者

私が消防団に入ってから後輩が入ってきましたが、私と同じく

意味の無いだらだらとした飲み会と罰金に我慢がならず、やめて行きました。

しかし、親・家族も含めた地元とのつきあいという問題上、消防団を辞める為に

地元を出て行ってしまいました。

また、別の若者は消防団に所属したくないが為に学校を卒業後、車でわずか10分程度という

街に引っ越してしまいました。同じような若者の話は毎年のように耳に入ってきます。

まとめ 私が主張したかったこと

自主防災の為に入団した私にとって、意味の無い時間である消防団活動は耐え難く

約10年所属して退団しました。

それだけでなく、消防団に入りたくないが為に地元を離れる若者が多いという現実について、

抗議の思いも強くありました。

消防団に所属していなくとも、飲み会が目的の会議に参加していなくても

パフォーマンスを競う訓練の為の訓練に参加しなくても

若者が地元に残ってさえくれれば、不審火や不審者を発見することもあるでしょう。

火事の時や洪水の時には、防災の力として頑張ってくれるかもしれません。

そんな、地域の未来を左右する力のある若者が地元を離れてしまうような

「消防団」未だに存在することが、私は残念でなりません。

※この記事にある「消防団」に関する記述は、

全国全ての「消防団」に共通する内容ではなく、関西在住のわたしが所属していた

「消防団(正確には分団の支部)」の話です。

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